MENU

アメリカ小児科学会(AAP)の指針に学ぶ、共働き家庭とスクリーンタイムの付き合い方

共働き家庭では、家事や仕事の合間にどうしても子どもにスマートフォンやタブレットを見せてしまう場面があるのではないでしょうか。日本ではまだ「スクリーンタイム」について家庭ごとの感覚に任されている部分が大きいですが、アメリカでは小児科の専門家団体が具体的な指針を示し、多くの家庭がそれを判断基準にしています。今回は、アメリカ小児科学会(AAP)がこれまで示してきた指針をもとに、共働き家庭がスクリーンタイムとどう付き合っていけばよいかを考えてみます。

筆者自身は、YouTubeやNetflixと上手に付き合い、育児のストレスを軽減できるのであれば、そうした力を借りるのは良いことだと考えています。精神的な安定を保ち、子どもへの余裕を持った関わりを維持するうえで、メディアの助けを借りることは決して悪いことではありません。ただし、ことYouTubeに関しては注意が必要です。終わりなく続く動画や、内容の薄い動画も数多く存在するため、親もしっかりと番組を選び、コントロールする姿勢が大切だと感じています。

目次

その知見の概要

AAP(American Academy of Pediatrics)は、乳幼児期のメディア利用について、年齢ごとに具体的な目安を示してきました。ポイントは「メディアを一律に禁止する」のではなく、年齢や利用の質に応じて付き合い方を変えるという考え方です。何となく「見せすぎはよくない」と感じながらも具体的な基準を持たないまま過ごしている家庭にとって、参考にしやすい枠組みだといえます。なお、こうした指針は一度決まって終わりというものではなく、社会でのメディア利用の変化に合わせて、AAP自身によって継続的に見直されている点にも留意しておきたいところです。

エビデンス①:AAPの政策声明とは

この指針のもとになっているのが、AAPが2016年に発表した政策声明「Media and Young Minds」です。米国の医学誌『Pediatrics』に掲載されたこの声明では、乳幼児期のメディア利用が言語発達や親子の関わりの時間にどう影響しうるかという観点から、年齢別の目安がまとめられています。特定の効果を強く断定するというより、「メディアに費やす時間が、親子の会話や遊びの時間を奪ってしまわないように」という考え方が土台になっている点が特徴です。ただしAAPは、その後もメディアを取り巻く環境の変化に応じて指針の見直しを続けており、時間の長さだけでなく内容の質や関わり方をより重視する方向へと考え方をアップデートしてきている、という点も知っておくとよいでしょう。最新の詳しい基準を知りたい場合は、AAPの公式情報を確認することをおすすめします。

エビデンス②:推奨の具体的内容

2016年の声明で示され、その後も広く参照されてきた代表的な目安は、次のようなものです。

  • 18か月未満:ビデオ通話を除き、スクリーンメディアの利用は避けることが望ましいとされています。
  • 18〜24か月:デジタルメディアを取り入れる場合は、質の高い番組を選び、保護者が一緒に見て内容について話すことが推奨されています。
  • 2〜5歳:質の高い番組であっても、1日1時間程度を目安にすることが示されています。

あわせて、「泣き止ませるためだけにメディアを使わない」「食事中や寝室ではメディアを使わない時間・場所を決める」といった、時間の長さだけでなく使い方の工夫にも触れられている点が印象的です。なお、より年齢が上の子どもも含めた指針については、時間で一律に区切るのではなく、内容や関わり方、生活への影響といった複数の観点から総合的に考える方向へと、近年さらに議論が進んでいるとされています。細かい基準は更新される可能性があるため、正確な最新情報はAAPの公式サイト等で確認してください。

日本の家庭での実践方法

共働き家庭で、AAPの考え方をそのまま厳密に実践するのは現実的に難しい場面も多いはずです。無理に完璧を目指すのではなく、まずは取り入れやすい部分から始めてみるのがおすすめです。例えば、「食事中はテレビ・スマホを見ない」というメディアフリーの時間を1つ決めるだけでも、親子の会話の時間を確保しやすくなります。また、動画を見せる際に「何を見ているか一緒に確認して一言声をかける」だけでも、ただ見せっぱなしにするのとは関わり方が変わってきます。忙しい共働き家庭だからこそ、すべてを制限するのではなく、メリハリをつける意識が現実的な落としどころになるのではないでしょうか。

まとめ

スクリーンタイムに「絶対の正解」はありませんが、海外の専門家団体が年齢別に具体的な目安を示し、その考え方を時代に合わせて見直し続けているという事実を知っているだけで、家庭でのルール作りの拠り所ができます。今日からすべてを変える必要はありません。まずは「食事中だけはメディアフリーにする」など、ひとつの小さな一歩を試してみることが、忙しい毎日の中で子どもとの関わり方を見直すきっかけになるはずです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次